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大阪地方裁判所 昭和50年(わ)75号 判決

一、本店所在地

大阪市東住吉区桑津町四丁目二八番地

商号

三倉ハンカチ株式会社

代表者

倉橋武一

二、本籍

大阪府羽曳野市蔵之内五二六番地

住居

大阪市東住吉区桑津町四丁目二八番地

職業

三倉ハンカチ株式会社代表取締役

倉橋武一

大正二年一一月五日生

右両名に対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官大谷晴次出席のうえ審理を遂け、次のとおり判決する。

主文

被告人三倉ハンカチ株式会社を罰金五〇〇万円に、

被告人倉橋武一を懲役六月に

各処する。

但し、被告人倉橋武一に対しこの裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罰となるべき事実)

被告人三倉ハンカチ株式会社は、大阪市東住吉区桑津町四丁目二八番地に本店をおき、繊維製品加工業を営むもの、被告人倉橋武一は、同会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人倉橋武一は同会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、

第一、被告人三倉ハンカチ株式会社の昭和四六年一月一日から同年一二月三一日までの業務年度において、その所得金額が四二、五七五、一二三円で、これに対する法人税額が一五、二一七、一〇〇円であるのにかかわらず、公表経理上架空仕入及び架空経費を計上し、これによつて得た資金で無記名の貸付信託を設定するなどし、かつたな卸の一部を除外するなどの行為により、右所得金額中二一、一八二、一〇四円を秘匿したうえ、同四七年二月二六日大阪市平野区平野西二丁目二番二号所在東住吉税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が二一、三九三、〇一九円で、これに対する法人税額が七、四三八、〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税七、七七九、一〇〇円を免れ、

第二、被告人三倉ハンカチ株式会社の同四七年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度において、その所得金額が六七、六〇一、七〇五円で、これに対する法人税額が二四、四一二、二〇〇円であるのにかかわらず、前同様の行為により、右所得金額中四〇、四八九、五四一円を秘匿したうえ、同四八年二月二八日前記東住吉税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が二七、一一二、一六四円で、これに対する法人税額が九、五三七、五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税一四、八七四、七〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一、被告人三倉ハンカチ株式会社代表者兼被告人倉橋武一の当公判定における供述

一、被告人倉橋武一の検察官に対する供述調書

一、同被告人の収税官吏に対する質問てん末書一一通

一、同被告人作成の確認書

一、石原虎雄の収税官吏に対する質問てん末書四通

一、小田繁夫、細川働、中山学、小野佐四郎及び大上幸男の収税官吏に対する各質問てん末書

一、小林豊治、堀江照二、酒井敏夫各作成の各確認書

一、収税官吏作成の現金預金有価証券等現在高検査てん末書八通

一、収税官吏作成の昭和四九年二月一八日付査察官調査書

判示第一の事実につき

一、東住吉税務署長作成の証明書(但し、昭和四七年二月二六日申告受付分)

一、石原晃弘の収税官吏に対する質問てん末書

一、高橋逸夫及び富永怒輔作成の確認書

一、収税官吏作成の昭和四九年二月一五日付査察官調査書

判示第二の事実につき

一、東住吉税務署長作成の証明書(但し、昭和四八年二月二八日申告受付分)

一、滑川雄弘及び藤縄登作成の確認書

一、収税官吏作成の昭和四九年二月一九日付査察官調査書

一、収税官吏作成の査察官調査書類

(法令の適用)

被告人らの判示各所為は、いずれも法人税法一五九条、七四条一項二号(法人である被告会社の処罰につきなお一六四条一項)に各該当するところ、被告会社に対しては以上の罪は刑法四五条前段の併合罪であるから同法四八条二項により所定罰金額を合算した金額の範囲内において被告人三倉ハンカチ株式会社を罰金五〇〇万円に処し、被告人倉橋武一に対しては所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上の罪は同法四五条前段の併合罪であるから同法四七条本文一〇条により、犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で同被告人を懲役六月に処し、なお諸般の情状に鑑み同法二五条一項一号を適用してこの裁判確定の日から二年間同被告人に対する右刑の執行を猶予することとする。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 橋本達彦)

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